デザインの輪郭。

深澤直人さんの「デザインの輪郭」を読みました。
深澤さんが「ひとりごとのようなもの」と記されているように、深澤さんの当時のデザイン観がゆったりと語られた内容です。

深澤さんといえば、±0 が思い浮かぶ人が多いのではないかと思います。私自身も、±0、au の Infobar などプロダクトデザイナーとしてのお名前しか知りませんでした。本書を拝読して、深澤さんのデザインの姿勢が、所謂ふつうの生活に根付いたものであるという印象を持ちました。

印象的だった内容を抜粋しておきます。

Without thought。

僕がこれを考えたように見えるといわれますが、それは僕が考えたわけではなくて、そうなるべき姿であったということの結果だと思います。

“傘立てのデザインの1つの解としてのタイルの溝” を挙げて、これを「行為に溶けるデザイン」とも述べられています。そして、デザインを先行して思案者の勝手な理屈やストーリーを展開するのではなく、行為に内包されている事象と記憶の中からデザインのきっかけを見い出すことの重要性を説いています。

確かに、後付けされた理屈は、初見のインパクトやその場しのぎには効果はありますが、デザインを長く捉えた時の色褪せ方というか魅力に欠けるものだと、妙に納得してしまいました。まぁ、後付けする理屈のクオリティにも依りますが…。

気付きのズレ、遅れの妙味

最初に見たときに、そのかたちの意味がよくわからないというのがいいと思う。なにかあたりまえなことをしていて、それが立ち現れてきたときに、「あれ?」・・・「!」となるのがいい。 – (中略) – この気付きのズレ、遅れがいいと思っている。このわずかな気付きのタイムラグは、作者が見いだした意識の中心を辿って到達するまでの時間のズレであり、作者の思いに受け手が追いつく時間のズレである。

これは、先日読んだ「なぜデザインなのか」の中で原さんが仰っているように、「”わかった” の先にある何かを芽生えさせる」ことに近く、私のやりたい・やらねばならない意識の持ち方だと思いました。

Caffeine 中毒のススメ?

先日のエントリのフォローアップ。

ITmedia で次世代Google検索エンジンについて、サイト管理者が知るべき10のことという記事があった。

10の心得が記載されていはいるが、要するに次の2点を唱えている。

 ・検索エンジンが変わる時こそが、2番手・3番手に甘んじている企業・個人にとってチャンスである
 ・Google の動向をくまなくチェックして、とにかく情報を収集し備えるべきである

ちなみにこれは、Google が検索サービスのトップに座っている現状での、我々のとるべき姿勢を示したものだ。

近年多く見られるようになった、特化型やインタラクティブな検索エンジンが対当してくると、単純にこれだけを守れば良いというわけでもない。とはいえ、現状圧倒的なシェアを誇る以上、少なくとも Google(Caffeine) の動向には注目しておかなくてはいけない。

大きな存在の何かが変化するとき、そこには大きなビジネスチャンスが生まれるのは世の常。ただ飛びつくのではなく、しっかりと見据えたい。

Twitter 3度目のダウン。

米国時間 8月15日、Twitter が 3度目のダウンを喫した。
先の 6日、11日の両日は「DDos 攻撃によるもの」であると要因が発表されているが、今回のダウンについては若干目先が変わっているようだ。

ITmedia のエントリによると、Twitter 側は、今回の要因は外部 API にあると見て調査を進めているらしい。

先のダウン以前にも、Twitter 側は OAuth の脆弱性に関して「事前通告無しでのサービス停止」という対応を行っている。(※ API 停止の理由を事前通告しなかったのは、Twitter 以外の OAuth 対応サイトが脆弱性に対し十分な対応が完了するのを待っていたため)

今回のダウンについても、これと同様に OAuth の脆弱性に依るものなのだろうか。

OAuth や OpenID などによって、認証周りの技術がオープン化されることで、ユーザやデベロッパの利便性の向上を得られる反面、セキュリティ面をいかに強化し、企業としてのスタンスをどう示していくかが強く問われる。

Google 次世代検索エンジン Caffeine を発表。

12日、Google が次世代検索エンジン(コードネーム「Caffeine」)を発表した。

正式リリースは先であり、現時点では既存エンジンとのリプレースはされていない。Caffeine は、ココから見ることができる。

雑感としては、アナウンスされているとおり、検索インターフェースも結果表示も検索オプションの設定画面にも差がない。また、検索結果の上位サイト(10位程度)にも大差は見られなかった。

敢えて異なる点を挙げるとすれば、いくつかのキーワードで検索結果を比較してみたところ、ヒット件数に若干の差が見られる。

ワード:”google” を検索

  • 既存エンジン: 約 2,250,000,000 件
  • Caffeine: 約 2,600,000,000 件

ワード:”覚せい剤” を検索

  • 既存エンジン: 約 3,270,000 件
  • Caffeine: 約 6,020,000 件

上記だけを見ると、Caffeine の方が有効データ量、インデクシングの最適化が優れているのか?と思われるが、正直なところなんとも言えない。なお、検索速度については、厳密に同環境での比較ができないので件数のみを記載している。

結局のところ、グーグルのデベロッパが「ほとんどの利用者は検索結果に違いがあることに気づかないだろう」と言うとおり、ユーザ視点では何も変化を感じることは無さそうだ。

Facebook の FriendFeed 買収にみるソーシャルサービス。

米国発の SNS Facebook が フィードアグリゲーションサービスを提供している FriendFeed を買収した模様。

FriendFeed
blog、Flickr、Twitter などソーシャルサービスを集約して取得・配信ができるサービス。「ソーシャルネットのソーシャルネットサービス」みたいなポジション。(違ってたらごめんなさい)

この買収についてはあちこちでエントリを見かけるが、『Facebook による Twitter 追撃体勢の準備』というスタンスがもっともらしい要因のようだ。

とはいえ、クローズドな SNS である Facebook がオープンな FriendFeed を飲み込んで、結局どちらにフォーカスするのだろうか?

ソーシャルネットワークサービスというと、mixi などクローズドなサービスが頭に浮かぶ。だが、Twitter が1つのブームを巻き起こし(つつある)ている現在は、リアルタイムなコミュニケーションにニーズが寄りつつあるように思う。

その状況下での今回の買収。

クローズドな Facebook を、流行りにのせてオープンなものとしてスピードをあげた上で、自身の持つソーシャルサービスを展開していくことが狙いとなるのだろうか。

DDoS を受けて、少なからずユーザに不安を抱かせてしまっている感のある Twitter を追撃するなら、今しかないのかもしれない。