2009年8月 のアーカイブ

Twitter 3度目のダウン。

2009年8月17日 月曜日

米国時間 8月15日、Twitter が 3度目のダウンを喫した。
先の 6日、11日の両日は「DDos 攻撃によるもの」であると要因が発表されているが、今回のダウンについては若干目先が変わっているようだ。

ITmedia のエントリによると、Twitter 側は、今回の要因は外部 API にあると見て調査を進めているらしい。

先のダウン以前にも、Twitter 側は OAuth の脆弱性に関して「事前通告無しでのサービス停止」という対応を行っている。(※ API 停止の理由を事前通告しなかったのは、Twitter 以外の OAuth 対応サイトが脆弱性に対し十分な対応が完了するのを待っていたため)

今回のダウンについても、これと同様に OAuth の脆弱性に依るものなのだろうか。

OAuth や OpenID などによって、認証周りの技術がオープン化されることで、ユーザやデベロッパの利便性の向上を得られる反面、セキュリティ面をいかに強化し、企業としてのスタンスをどう示していくかが強く問われる。

Google 次世代検索エンジン Caffeine を発表。

2009年8月13日 木曜日

12日、Google が次世代検索エンジン(コードネーム「Caffeine」)を発表した。

正式リリースは先であり、現時点では既存エンジンとのリプレースはされていない。Caffeine は、ココから見ることができる。

雑感としては、アナウンスされているとおり、検索インターフェースも結果表示も検索オプションの設定画面にも差がない。また、検索結果の上位サイト(10位程度)にも大差は見られなかった。

敢えて異なる点を挙げるとすれば、いくつかのキーワードで検索結果を比較してみたところ、ヒット件数に若干の差が見られる。

ワード:”google” を検索

  • 既存エンジン: 約 2,250,000,000 件
  • Caffeine: 約 2,600,000,000 件

ワード:”覚せい剤” を検索

  • 既存エンジン: 約 3,270,000 件
  • Caffeine: 約 6,020,000 件

上記だけを見ると、Caffeine の方が有効データ量、インデクシングの最適化が優れているのか?と思われるが、正直なところなんとも言えない。なお、検索速度については、厳密に同環境での比較ができないので件数のみを記載している。

結局のところ、グーグルのデベロッパが「ほとんどの利用者は検索結果に違いがあることに気づかないだろう」と言うとおり、ユーザ視点では何も変化を感じることは無さそうだ。

Facebook の FriendFeed 買収にみるソーシャルサービス。

2009年8月12日 水曜日

米国発の SNS Facebook が フィードアグリゲーションサービスを提供している FriendFeed を買収した模様。

FriendFeed
blog、Flickr、Twitter などソーシャルサービスを集約して取得・配信ができるサービス。「ソーシャルネットのソーシャルネットサービス」みたいなポジション。(違ってたらごめんなさい)

この買収についてはあちこちでエントリを見かけるが、『Facebook による Twitter 追撃体勢の準備』というスタンスがもっともらしい要因のようだ。

とはいえ、クローズドな SNS である Facebook がオープンな FriendFeed を飲み込んで、結局どちらにフォーカスするのだろうか?

ソーシャルネットワークサービスというと、mixi などクローズドなサービスが頭に浮かぶ。だが、Twitter が1つのブームを巻き起こし(つつある)ている現在は、リアルタイムなコミュニケーションにニーズが寄りつつあるように思う。

その状況下での今回の買収。

クローズドな Facebook を、流行りにのせてオープンなものとしてスピードをあげた上で、自身の持つソーシャルサービスを展開していくことが狙いとなるのだろうか。

DDoS を受けて、少なからずユーザに不安を抱かせてしまっている感のある Twitter を追撃するなら、今しかないのかもしれない。

裁判員制度に見るメディアのあり方。

2009年8月7日 金曜日

歴史的な改革と呼ばれ始まった「裁判員制度」。その初判例は、懲役15年(求刑16年)という判決で一旦幕を引いた。

裁判の4日間、マスコミは連日こぞって審理の状況を報道していた。
今回の判例は殺人罪。刑事事件としても相当シビアな判例であることは間違いない。その上、裁判員制度の初判例なのだから、マスコミや世論が注目することは当然だろう。

さて、報道の主はなんだったろうか?

私は、ほぼすべてのメディアの視点が、選出された日本初の裁判員の一挙手一投足に向けられていたことに嫌なものを感じずにはいられなかった。これは裁判なのだ。制度のお披露目会ではないのだ。

犠牲になった人がいる。犠牲になった人の遺族がいる。そして、加害者がいる。

判定が下り、メディアも世論の興味もこの判例から日に日に離れていくのだろう。我々の日常において人を裁くという場は身近ではないから、しようがないことかもしれない。

だが、考えなければいけない。

もし自分が、今回の初判例のような事件の関係者だったとしたら?自分たち自身のことなのに、そこを無視して別なところばかりにフォーカスされていることを、どう感じるだろうか?

人の命が奪われたという事実。裁判員制度は、その事実を検証し正しく裁くための1つの手段に過ぎないことを忘れてはいけない。

明日の Web デザインへのヒント。

2009年8月6日 木曜日

ria

明日の Web デザインへのヒント」ということで、RIA コンソーシアム主催のビジネスセミナーに出席してきました。

私の勝手なイメージでは、RIA と Web デザインはあまり直結するモノという意識がないので、RIA コンソーシアムという団体主催の Web デザインネタというものに、単純に興味が沸いた。

全3セッションとパネルディスカッション1つという内容でしたが、中身はこんな感じ。

Gainerを使ったサービスとネットとリアル連動の可能性。 1PAC 阿部さん

お正月に一部で沸いた「Are you HOT!」というワンパクさんのセルフプロモーション的なコンテンツについてのおはなし。

ネットとリアルを連動させたコンテンツということで、所謂「福引き(ガラガラのアレ)」を Gainer を使って、且つ Web でユーザに体験してもらったら素敵だね。というコンテンツです。

ネットとリアルを連動させるということをテーマにコンテンツ作りをすることに、次のようなメリット・デメリットがあると仰っていました。

■メリット

  • クリエイティブの幅が広がる
    コミュニケーションデザインを考えた場合、画面とリアルの連動性の証明(見せ方)の工夫が大事。
  • 消費されにくいモノが作れる
    カラダを使ったコンテンツは記憶に残り易い。

■デメリット

  • 運用の仕方
    ソフトウェアのデバッギングだけでなく、特にハードウェアに対する運用スタイルがキモ。
  • 時間とお金

確かに、実際にクライアントワークとしてプロモーションコンテンツをフィジカルネタで作りあげる場合は、運用を誰がどう対応していくかというのが非常に大きな問題になるのかなと思います。

ただ、メリットに挙げられているように、カラダを使った体験によって与えられるインパクトの強さは、目だけで得られるそれを遥かに凌ぐものだと思うので、仕事になるとおもしろそうですね。

ARを使ったBOWカードとWebにおけるARの可能性。 BOW 吉川さん

BOW さんの名刺に住んでいる AR アバターのおはなし。

BOW cARd は AR を使ったコンテンツということで、技術的な側面はもちろんとても面白いのですが、吉川さんが仰っていた今後の展望というか、クリエイションに対する姿勢がとても素敵でした。

「生活が素敵になっていくものを作りたい。AR はその手段の1つ。」と。
先日読んだ「なぜデザインなのか。」でも原さんが書かれていましたが、デザインというものは生活を豊かにするためのものであるべきだということ。モノを作る以上、いつもその意識は中心に置いておかないといけませんね。

リアルと連動したコミュニケーションとデザインのこれから。 セミトラ 菅井さん & 田中さん

akarium と color tokyo 2つのプロジェクトについてのおはなし。

言わずと知れた両プロジェクトですが、セミトラさんのクリエイティブワークには次のようなポイントがあるようです。

  • シンボルになり得るものをつくる
    「なり得るもの」と書くとちょっとニュアンスが違うかもしれませんが、そのコンテンツのインタラクションがその場のシンボルになることを意識して作っているようでした。
  • ユーザに解釈を委ねる
    使い方を懇切丁寧に示すのではなく、アソビというか揺れ幅の余地をある程度残すことで、自然発生的に Buzz が起きることを期待する。

ポイントの2つ目については確かに仰るとおりで、ユーザビリティだとかアクセシビリティが狂ったように重要視されていましたが、ユーザの経験に頼ることで新しい使われ方や展開が生まれることの期待値も、絶対に忘れてはいけないことですね。

これからの Web。明日のデザインとは?(パネルディスカッション)

パネラーとして、ビーコン・コミュニケーションズ渡辺さんトリプルセブン・インタラクティブ福田さんが加わり、Web コンテンツ制作のいまについて語ってくれました。

興味深かったのは、旧来のマスメディアとインターネット、各々の領域で生きてきたクリエイターのボーダーがなくなっていくんじゃないか?もしくは、ボーダレスになることでもっと面白いものが出てくるんじゃないか?というもの。

確かにいままでは、CM や映画を作ってた人たちが Web に流れてくるというパターンは良く目にするけど、その逆というのは中村勇吾さん(UNIQLO、iida)とかほんの一握りだと思う。これからは、そういう逆輸入みたいなものづくりにも期待大です。願わくば、私もそういう一線で戦って行きたいと思います。

スピーカーの皆さま、お疲れさまでした。