2009年10月 のアーカイブ

Flash Video のおはなし。

2009年10月5日 月曜日

パソナ主催の講演「動画×Flash:Flashで動画を扱う際のポイントと最新事例」を聴きに行ってきました。スピーカーは Adobe 認定インストラクターの金像さん。

Youtube やニコ動に始まり、テレビ局各社のオンデマンド配信まで、いまや Flash Video の浸透具合は疑う余地もない。だって Flash だもの。私自身、その再生や停止といった簡単な制御コンテンツの作成経験はあるものの、動画そのものについてはグレーな部分が多いので、お話を伺えて良かった。

基本的な点が多いけど備忘録。

メジャーなエンコーダ

それぞれ特色はあるけれど、少々乱暴に言うと、Adobe がワリと入門向けなのに対し、サードパーティ2社はやや玄人向けといったところ。勿論、いずれも設定項目が多岐にわたって可能なので、多様な設定が可能。

特に、On2 Flix が持つ VP6-S(VP6-E ではない) というコーデッックは、非常に高い圧縮性能を持つ。

コーデックと Flash Player

  • Sorenson Spark ・・・ Ver.8 以上
  • On2 VP6 ・・・ Ver.8 以上
  • H.264 ・・・ Ver.9.0.124 以上
  • Speex ・・・ Ver.10 以上

ポイントは次の2点。

  • 単純に最新 Player 対応のコーデックを採用するのではなく、対象ユーザの環境を推測して最適なコーデックを採用する。
  • H.264 は、ver.9.0.124 以上である。Adobe オフィシャルでは ver.9.0.15 とあるが誤り

ビデオ素材の準備

ビデオ素材を用意するのはウェブ(またはコンテンツ)制作側の範疇ではないことが多いが、ディレクションをする立場にある場合は特に以下の点に留意する。

  • インターレースを除去した動画データを使う。
  • 非圧縮の動画データを使う。再圧縮はトラブルの元なので避ける。

エンコード時の TIps

  • FPS を変更する場合は、元データ FPS の割り切れる整数値にする。
    例)元データが 30 fps の場合は、15fps or 10 fps or 6fps or 5fps。
  • キーフレームを適切に設定する。
    キーフレームはシークの再生ポイントになるため、早送り/巻き戻しをする場合のキモになる。

なお、2点目のキーフレームについては、FMS を使ったストリーミング再生なら、エンハンスドシークが可能なのでキーフレームを気にしなくて良い。

ピクセル比を適切に設定する

これが正しく出来ないと、再生した際に縦長になったり横長になったりしてしまう。尚かつ、金像さん曰く、ちゃんと出来てない動画が実に多いとのこと。

Digital Video の場合
動画データ: 720 x 480 = 3:2
  ↓
【補正】左右 8 ピクセルずつ削る
  ↓
動画データ: 704 x 480 ≒ 4:3

なお、なぜ 4:3 に補正するのかは、この辺が詳しい。

そういえば、Flash やってる? AS 使ってる? といった金像さんの質問に対する反応が少なかったのだけど、出席者はどんな立場のヒトが多かったんだろう。ディレクターなのかな。

リッチクライアントのススメ。

2009年10月1日 木曜日

@IT 主催のリッチクライアントカンファレンスに行ってきました。
リッチクライアントということで、Java、Silverlight、WPF、そして Adobe と各技術を用いた事例の紹介や、導入のメリット、最新技術の動向についてのお話がありました。

一種の流行りなのか会場はほぼ満席。スーツ率が高かったので、かっちり技術系の方が大部分なのかなと。ただ、ワリと女性が多かったのが意外です。

各セッションのメモと雑感は以下。ホントは幾つかのセッションは退出予定だったのだけど、結局全部聴いてきました。Silverlight / WPF もやってみたいなぁ。

エクスペリエンス・テクノロジー最新動向 〜野村総研 田中さん〜

より良い経験価値を作り出す技術を磨きましょう、というお話。
機能や性能といった物理的な点から得られる価値以上の経験を付与することで、差別化ができますよということ。

エクスペリエンステクノロジーを向上させるためには、大きく3点を考える。

  • 機能性・表現力・性能の向上
    そのもの自体の機能的な底上げをする。そもそもある程度のクオリティがなければお話しになりません、ということ。
  • より人間的な UI 技術の導入
    ビル・ゲイツも提唱しているナチュラルインターフェースってやつですね。やはりヒトが相手だということを忘れずに。
  • エクスペリエンスを加える要素の追加
    ユーザを理解すること。ペルソナは珍しいことではないが、単に属性のみを持つペルソナではなく、行動や声をトレースしたペルソナを構築する。

ユーザ中心で真に使える RIAを実現する 〜マイクロソフト 春日井さん〜

マイクロソフトの RIA ということで、Silverlight を用いた場合の RIA 開発のアプローチのお話。モノとしては、Silverlight を IIS と併用すると動画のバッファリングをストレスレスで楽しめますよと。また、Expression Blend 3 という幾つかに分かれたパッケージのお話も。

開発アプローチについては、イテレーション開発を提唱されてます。要は、要求・分析・設計の初期3フェーズにおいてプロトタイピングを交えて繰り返すことで、より良いアプリケーションの構築に繋がるというもの。

プロトタイピングがキモになるわけで、前述の Expression Blend 3 にリンクする。これは、Adobe の Catalyst と同じポジションのプロダクトになるのだけど、デモを拝見した限りでは、ペーパープロトタイピングにもう少しチカラを入れた程度で作っていけそうで、好感触でした。

デザインアプローチの RIA 開発

Catalyst についてのお話。FxUG とかその辺りの勉強会で伺っていた内容だったので、だいぶ物足りない感じでした.Max ネタとか、もうちょっと突っ込んだところを伺いたかったなと。

野村総研の田中さんも仰っていましたが、「ヒトが使う」ということをきちんと考えてデザイン(設計と UI デザイン)することを提唱されていました。RIA だからこそ、派手さや技術一辺倒ではなく、目的という軸をブレないようにする必要がありますね。

プロトタイプ型ワークフローと UI 設計 〜ビジネスアーキテクツ 伊原さん〜

MS しかり、Adobe しかり、「イテレーション開発したら良いじゃない」という流れなわけで、重要になるのがプロトタイピング。というわけで、プロトタイプのススメ。

ただ単にプロトタイプを作るのではなく、ユーザのためのプロトタイピングであることに注意する。よく陥るバッドケースとして、自分をユーザに投影してしまうことが考えられる。要件を知っているユーザ≠真のユーザであることを忘れてしまうと、そこには錯覚と混乱にまみれたモノができあがってしまう。

総括

各ベンダセッションの内容がもろかぶりなのは、結局いまのクライアントアプリケーション市場で求められてるところは一緒だってことですね。それから、しっかりと使うヒトを意識してモノづくりをしましょうね、と。